歩くスピードと寿命の関係
歩くことが身体の基礎体力作りとして非常に有効であることはよく知られています。しかし「歩くスピード」までも寿命と不思議な関係をもっていることをご存じですか?そんな面白い豆知識です。

歩くスピードと寿命の不思議な関係

戦後、交通手段の発達に伴い 運動不足による糖尿病の増加が報告されています。運動不足はさまざまな疾患を呼び込む元であり、体を動かして筋肉を鍛えることは病気予防の基礎といっても過言ではありません。

 

例えば、私たちの体内には直列にするとおよそ地球2周半分(約10万km)の血管が走り、平常時で1日10万回の心拍数があるといわれます。心臓も筋肉であり、鍛えなければ低下します。しかし、このことはあまり指摘されていません。

 

成人が3週間寝たきりの生活をすると約30%体力が低下するといわれます。また、宇宙飛行士が無重力で2週間筋肉を使わずに過ごすと心臓は30年ほど老化し、地球に帰還した時に糖尿病のリスクにさらされるといわれます。

 

筋肉の低下による息切れ
このことは、私たちが心臓を含む全ての筋肉を運動で活性させ続ける必要があるということを示しています。加齢に伴うサルコペニア(加齢性筋肉減少症)はロコモティブシンドローム(運動器症候群)の前段階として知られますが、原因は加齢による筋肉の低下だけでなく、「筋肉を使わない」ことからもたらされると考えられています。

 

最新の運動生理学で、歩くスピードが遅い人は、歩くスピードが早い人よりも寿命が短い傾向にあります。3万4,000人を対象にした最短で9年、最長で21年の大規模追跡調査の分析から、その人の75歳時の歩行速度で10年後の生存率が予測できると考えられています。

 

分析によると、歩くスピードが低下しても女性のほうが長生きであることに変わりはありませんが、男女問わず、歩行速度が遅ければ遅いほど、寿命は短くなるという共通点があることが明らかになっています。歩くという行為はエネルギーだけでなく、心臓、肺、循環器系、神経系、筋・骨格系に多くのことを要求します。歩行速度が遅いということは、これらのいずれかのシステムに不具合や障害が生じているということを意味しているのです。

 

ここ数年の日本人の食事調査で、高齢者のたんぱく質の摂取不足が指摘されています。しかし高齢者がたんぱく質を必要量摂取しても、なかなかサルコペニアは予防されないことも分かってきています。つまり、これは高齢者にこそ筋肉トレーニングが必要であるということを示しています。

 

もちろん、若い頃から適度な運動で筋肉を鍛えることも大切です。今から40年前と比べて栄養学的に食事の内容が変わりましたが、1日あたりの運動量も大きく変わっています。私たちは40年前より明らかに「動かない」生活をしています。近年、肥満の増加が指摘されていますが、食べ過ぎで太っているのではなく、動かないことで太っているということが言えるかも知れません。

 

ウォーキングは有酸素運動です。ふつうの歩きと違い、ウォーキングの場合は、意識的に黙々と歩きますが、それがより健康効果を高めることになります。ふつうの散歩のようにダラダラと歩いたり、立ち止まったり、景色を眺めたりしていてはウォーキングの効果が半減してしまいます。つまり、スピードが重要だということです。

 

ウォーキング習慣のすすめ
ウォーキングの効果をしっかり得るには、歩幅、リズム、姿勢の3つがポイントになります。できるだけ広めの歩幅でグイグイと前へ、そして一定のリズムでテンポよく歩く。スピードが早くなればそれだけ消費カロ リーも大きくなります。姿勢は、背筋をピンと伸ばし腕をしっかりと振る。足の着地にも意識を向ければ、運動効果はさらに高く、散歩とは違った爽快感やリフレッシュ感を得られます。

 

ふつうの散歩からスタートしても、歩き方や意識を変えることでウォーキングになります。怪我や身体的負荷が少ないことから多くの人がウォーキングを気軽に行っていますが、マンネリになっている場合は、フォームや速度、コースなどを見直し、単なる散歩になっていないか確認することを心がけましょう。